イベントレポート

イベントレポート(2010年)

vol5.
私たちの食べ物はどこから来ているの?

主催:
WE21ジャパン、共催:アフリカ日本協議会
日時:
2010年10月1日(金)13:30~16:00
場所:
かながわ県民活動サポートセンター
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食料の多くを輸入に頼っている日本。どのようにして輸入が多くなったのでしょうか。そして、食料不足や飢餓はどうして引き起こされるのでしょうか。

 

日本・世界の食料問題

アジア太平洋資料センター(PARC)理事の佐久間智子さんを講師としてお招きし、以下のように、この問題の解説をしていただきました。戦後のアメリカの対日食料戦略においては、経済成長すればよい市場になるとして、パン食や食事の西欧化がめざされました。日本では作れないものや、貿易の自由化でコストが安いものが取り入れられるようになり、輸入が増えていきます。欧米はまた、補助金によって、小麦・とうもろこしなどを安く売っています。実は、「途上国」にもパン食が入ってきたために、自分たちで決して作れないものが主食になっており、欧米の安いものを輸入せざるをえなくなっています。主要な食物を輸入に頼らざるをえない国々が出てきたことや、「先進国」で食物・飼料が大量消費されていることにより、食料の奪い合いが起こることになります。世界で食料の奪い合いになれば、買えない「貧困国」は飢えてしまうのです。作物のバイオ燃料転用、気候変動、食料への巨額の投機などによる、近年の食料価格高騰がこれに拍車をかけました。

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私たちができること

佐久間さんからは、次のような提起がありました。食料を、不足する国から奪わないためにも、また自衛のためにも、より小さな生活空間での地産地消が求められます。日本であれば、洋食や中華に比べて、和食の食材は相対的に自給率が高いし、現在自給できる食品によって必要なカロリーが摂取できることもわかっています。生産者・消費者保護の観点から、フェアトレード推進、決まったやり方に従わざるをえないハイブリッド種子・遺伝子組み替えの規制、新たな農業希望者が遊休地などを使えるようにする規制改革なども必要です。 開催2団体からも各取り組みの紹介と参加呼びかけを行ないました。 今回のセミナー参加者はNGO関係者や学生など38名。農業政策から普段の生活で気をつける点など、幅広いテーマでの質疑が行われました。

セミナーで話された内容について、詳しく書かれた本はこちらです
『穀物をめぐる大きな矛盾』佐久間智子(筑波書房、2010年)

 

 

vol4.
私たちの食卓から考える食料問題

主催:
ハンガー・フリー・ワールド
共催:
開発教育協会
日時:
2010年9月23日(祝・木)14:00~16:30
場所:
立教大学

国産食材の人気が高まる一方で、私たちの食生活はまだまだ海外からの輸入に頼っています。食べ物の重さと運ばれてきた距離を掛けることで、食べ物がどれだけ遠くから運ばれてきて、そのためにどれだけ地球に負荷をかけているのかを算出するフード・マイレージ。輸送のためのエネルギーを多く使うなど、環境に負担をかけることはもちろんですが、その他に遠くから食材を運んでくると何が問題なのかを、参加者と一緒に考えました。

 

低い食料自給率と高いフード・マイレージ

開発教育協会理事の上條直美さんを講師に、ワークショップ「地球の食卓フード・マイレージ編」を実施しました。ワークショップでは最初に、アメリカ、エクアドル、イタリア、日本、クウェートなどの家族が一週間に消費する食料品を撮影した写真を参考に、各国の穀物自給率の順位を考えました。一番高かったオーストラリアの332.9%に対して、27%という日本の低さ、また、並べられた食品の種類や量が多く、その多くが個別に包装されている日本の食卓の写真。参加者は、私たち日本人の食生活が海外からの輸入に頼っていることを、改めて確認しました。その次に、スパゲッティ、ラーメン、焼き魚定食、けんちん汁など、私たちに馴染みのある食事に使われている食材の産地を考え、それぞれのメニューのフード・マイレージを計算しました。日本国内で食材を調達しているかのように思える和食でも、決してフード・マイレージが小さくはないことに、参加者は驚きを見せていました。

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私たちの食生活と世界の食料問題とのつながりを実感

それでは、なぜフード・マイレージが大きくなったのか、また、そのことが世界の食料問題とどのように関係しているのかについて、最後に参加者で意見を出し合いました。食事の欧米化、社会の変化によって共働きが当たり前になってきていることなどのさまざまな原因があげられた他、「便利で手軽に食べられるものが増えて、いろいろな物が食べられるようになったというプラスの面がある一方で、そのことが輸入を増やして、環境や世界の人々の食生活に負担をかけているというマイナス面もあると思う」という声も聞かれました。例えば、冷夏による米不足のときに日本が大量に米を買ったことによって、国際市場に出回っている米の価格が上がり、一部の開発途上国が買えなくなったりと、世界の飢餓や食料問題に間接的にも影響を与えている私たち。参加者からは、「食卓でよくみられるメニューの原材料の産地を考えることによって、日本がどれだけ輸入に依存しているかを実感できた」、「海外から輸入された食料品が安いということは、生産地の人件費がとても安いからだということを知った」、「自分の食生活が世界の食料問題に与える影響が実感できた」といった感想が寄せられました。当日は悪天候のなか、学生、NGO/NPO職員、会社員、教員など幅広い層から33名が参加。異なる立場や年代の方々がワークショップに参加することによって、お互いに新鮮な意見を交換できたようです。

 

 

 

vol3.
アフリカ・サヘル地域での食料問題の考え方―ブルキナファソの場合―

主催:
緑のサヘル
日時:
2010年8月21日(火)14:00~16:00
場所:
JICA地球ひろば
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西アフリカ・ブルキナファソでは、降水量の減少や土地の劣化により、穀物の収穫量が不安定です。そのため、食料問題の解決策として自給自足を目指した農業生産性の改善・強化が重視される傾向にあります。しかし、生産された農産物がどのような経緯をたどって家庭の食卓に並ぶのか、という「食の流れ」を考えた場合、果たして農業生産性の向上だけが、唯一の解決方法なのでしょうか。

 

「生産」だけではない「流通」「加工」「購入」からなる食料の確保

アフリカ・サヘル地域で環境保全活動をしているNGO「緑のサヘル」代表の岡本敏樹さんが、食料問題を解決するために重要な「食の流れ」について、活動地であるブルキナファソを例に話してくださいました。米やマカロニなど、輸入された食料品がこの地域で増えてきており、以前よりも食べられるようになってきました。食料を確保するためには食料が十分に生産できるかだけではなく、買うことができるかも重要なのです。また、ブルキナファソでも日本と同じく、人々は食料を「生産」するだけではなく、「流通」「保存」という過程を経て、「購入」することで確保しています。こうして手に入れた食料を「調理」して、日々の食事を整えています。食料問題への対策を考えるにはこのような実際の「食の流れ」を踏まえ、自分たちの食生活を振り返り、消費者の立場からの視点を持つことが大切であることを指摘しました。そして、取り組まなくてはいけない分野が広い食料問題を解決するためには、それぞれの得意分野をもつ組織が連携することが不可欠であることも、付け加えました。

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「生産」だけではない支援の必要性

当日は、NGO/NPOや国際機関の関係者や省庁職員、学生、会社員の方など、26名が参加。「食料問題を考えるのに、生産以外についても考えていく必要があることに気づいた」「日本とブルキナは先進国と途上国で経済的に差がありますが、食料に関して似たような問題が存在していることに驚きました」「今回のセミナーで新たな視点を持つことができ、この経験をいつか社会貢献に生かしていきたい」といった、多くの感想が寄せられました。

 

 

 

vol2.
北アフリカ・中東地域における食料問題―水資源の現状と気候変動に対する課題―

主催:
国連食糧農業機関(FAO)
共催:
国際農林業協働協会(JAICAF)
日時:
2010年8月19日(木)14:00~16:00
場所:
アジア会館
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海外からの輸入に頼る、私たち日本人の食生活。実は、日本から遠く離れた北アフリカ・中東地域でも、同じように食料の確保を輸入に頼っています。また、穀物を多く輸入していることや、その主要な輸入相手国がアメリカであるなどの共通点もあります。一方で、日本とは気候が異なり、高温・乾燥地帯に位置する北アフリカ・中東地域。比較的温暖な気候にあるはずの日本でも猛暑による農作物の不作が連日ニュースで伝えられるなか、この地域の食料生産はどのような問題を抱えているのでしょうか。

 

気候変動が食料生産に与える影響

国連食糧農業機関(FAO)の中近東地域事務所で自然資源(水資源)開発・管理を担当している阿部信也さんに、食料の確保を輸入に依存している北アフリカ・中東地域の食料問題について、水資源の現状と気候変動への課題の点からお話をしていただきました。この地域の穀類の輸入は世界最大量に及んでおり (2007年)、その背景には、水資源の乏しさがあります。人口増加により食料の需要が高まる中で、気候変動がこの地域の水資源や食料生産に悪影響を及ぼすことが心配されています。こうした地域の食料をめぐる複雑な問題が、FAOや気候変動に関する政府間パネル(IPCC)のデータなどをもとに伝えられました。

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この地域の食料問題の要因とは?

この日の参加者は学生、NGO/NPO職員、会社員など約70名。参加者のみなさんは、同地域の抱える食料問題の要因の一つが水資源の不足にあることや、気候変動、人口増加などの多くの問題が地域の食料に影響を与える点に関心を持たれていたようです。発表後の質疑応答では、政府の取り組みやFAOの活動、水資源開発や農業生産の今後の可能性、この地域に住む人々の食料問題に対する危機意識などについて、多くの質問が寄せられました。また、質問のみならず具体的な政策や支援状況についての意見交換がなされ、参加者の食料問題への意識の高さが伺えました。

 

vol1.
日本におけるフードセーフティーネットの構築に向けて

主催:
セカンドハーベスト・ジャパン
日時:
2010年7月27日(火)13:00~14:30
場所:
JICA地球ひろば

飢餓や食料問題は自分とは遠く離れた開発途上国だけの問題と思われがちですが、そうではありません。開発途上国と比べると数は少ないものの、先進国全体で1500万人もの人たちが飢餓に苦しんでいて、その数は増加傾向にあります。また、日本国内を見ても、安全かつ十分に栄養のある食べ物を得られない人の数は75万人以上いて、置かれている状況もさまざまです。一方で、生産、製造する過程の中で、やむなく廃棄されてしてしまう食材や食料品。「食べ物が必要な人」と「廃棄される食べ物を有効利用したいと考える人」とを結びつけるフードバンク活動を通して見てきた日本の貧困の現状とはどのようなものなのでしょうか。

 

日本で「食」に困っている人は誰?

日本で10年にわたってフードバンク活動を続けているセカンドハーベスト・ジャパン(以下、2HJ)の理事長チャールズ・マクジルトンさんと事務局長の大竹正寛さんが、日本の貧困問題やフードバンクの役割、そして、フードセーフティーネット構築の必要性についてお話しました。参加者は25名。NGO/NPO職員、会社員、学生など様々ですが、チャールズさんの「日本で貧困ライン以下の生活をしている人の割合は15%。その大半を占めているのが意外にも母子家庭という事実があります」という発表に、みなさん一様に驚いていました。

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人と人との橋渡しとしてのフードバンク

印字ミスや容器のへこみ、規格外などの理由で消費者に届くことがない大量の食料品を、支援を必要としている方々へ届けるフードバンク活動。食料品を提供する側と必要とする側の橋渡しをするためには、時間をかけて信頼関係を築くことが不可欠であったことが、これまでの活動経験を交えながら伝えられました。
発表後の質疑応答では、団体の運営について、日本人の貧困に関する意識の変化など、たくさんの質問が寄せられました。当日の参加費は無料でしたが、お米やお米代が寄付され、今回のセミナーだけで約26kgものお米が集まりました。みなさまから寄せられたお米は、2HJによって支援が必要な方々に届けられます。