インタビュー

参加者インタビュー(2012年)

学生団体
ユース・エンディング・ハンガー茨城

世界から飢餓を終わらせるために活動する国際協力NGOハンガー・フリー・ワールドの青少年組織ユース・エンディング・ハンガー(YEH)。そのなかから、筑波大学を拠点に活動する茨城グループの活動をご紹介します。

あたりまえの生活のなかで「何か」する

新年度を迎えたばかりの5月。いつもであれば、4月に入った新入生と先輩たちが一緒になって、街頭募金をする頃でした。しかし、3月に起こった東日本大震災。「若者が飢餓を終わらせる」という、自分たちの活動に誇りを持ちつつも、「こんな時期にアジアやアフリカへの支援を呼びかけていいのか」という迷いがあったそうです。せっかく新入生が入ってくれたのに、しばらく停滞してしまう活動。先輩たちのもどかしい気持ちを奮い立たせてくれたのは、新入生のこんな声だったと話してくれました。「友だちとご飯を食べたり、カフェでコーヒーを飲んだり……。そんな、毎日のあたりまえの生活のなかで、気がついたら飢餓を終わらせるための活動に参加している。そんなことを何かやりたい」。

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協力してくれる人を増やす

いろいろなアイデアが出された結果、10月の「世界食料デー」月間中に、学生食堂で週替わりのアフリカ風メニューを提供し、1食につき20円が寄付になるという企画を実施することになりました。同じ学生団体のTABLE FOR TWO筑波大学にも声をかけ、学生食堂へ交渉に向かうと、「いつも利用してくれている学生さんたちの頼みなら」と、快く引き受けてくれたそうです。夏休みが明けた9月から、本格的な準備を開始。「みんなが楽しくご飯を食べる場所だから、テーブルに置くポップは食文化や料理のレシピを紹介するような、手に取りやすいものがいいよね」「壁にはYEHや世界食料デーについて知ってもらうためのパネルを展示しよう」などのアイデアを出し合いながら、形にしていったそうです。
そして、10月。1日40食の限定メニューは、友だちがフェイスブックやツイッターで紹介してくれたこともあり話題に。おいしいと好評で、毎日ほぼ完売しました。「アジアやアフリカの国々に、『食』を通じて親しみを感じてほしい。飢餓について改めて考えるきっかけとなってほしい」。新入生の想いが形となって実現したこの企画は、今年も10月に開催される予定です。

栄養士 板橋区立北野小学校
矢木むつみさん

子どもたちに食の大切さを伝える栄養士として、一昨年の「世界食料デー」月間から、「給食だより」などを通して世界の食料問題について伝えています。

ただ「お腹を満たす」のではなく、興味をもってもらうために

学校の栄養士として働く前は、食品メーカーの営業をしていた矢木さん。その後、中学校の栄養士として働き始めました。赴任先の中学校は、お弁当から給食へ切り替える大変なときだったそうです。「お弁当に慣れている子どもたちは、給食に切り替わった後、嫌いなものにはなかなか手をつけてくれませんでした。もっと早い段階から食への興味をもってもらうことが必要だと感じました」。

その後、北野小学校で働くことになりましたが、3食お腹いっぱい食べられることがあたりまえの子どもたち。「家庭では食べ慣れない和食の献立のときには、食べ残しが多くなってしまいます。食べものを捨てることは、作ってくれた人の気持ちも一緒に捨てること。子どもたちと調理員さんをつなぐ架け橋である栄養士として、もっと食への興味や、作ってくれた人への感謝の気持ちをもってもらうためには何ができるのか、考えています」。

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食を通して世界のことも伝えたい

矢木さんは食への興味をもってもらうきっかけとして、「給食だより」の他に、毎日「給食メモ」を各クラスに配布しています。食材の産地を紹介する他に、何かの記念日であればそれにちなんだ話題を提供したり、旬の食材について紹介しているそうです。10月は何かないかと調べていたときに世界食料デーを知り、10月の給食だよりと給食メモで、世界の食料問題や食料廃棄について紹介しました。「中学校で働いてきたときに、同僚の先生が授業で使っていたハゲタカに狙われる飢えた少女の写真が衝撃的で。世界の現状を伝えるために、栄養士としてできることはないかと以前から考えていました。そんなとき「世界食料デー」月間のホームページを見つけて、これだ!と思いました」。
「給食だより」や「給食メモ」で世界食料デーや世界の食料問題について伝える取り組みも、3年目。今年はどんな風に子どもたちに伝えようかと、今から考えているそうです。

企業・株式会社 小田原 鈴廣
小川典江さん

神奈川県・小田原の老舗かまぼこメーカー鈴廣。小田原や箱根へ向かう観光客で賑わう10月に、併設するレストランや博物館で、チャリティ企画やパネル展示を実施しました。

1人ひとりの想いを大きな力へ

かまぼこを製造するときに出る魚の皮や骨、内蔵などから作った肥料を地元の農家に使ってもらい、その畑で育った野菜をレストランで提供するなど、以前から「いのちの循環」をテーマにした街づくりを行っている鈴廣。このような取り組みや企業としての想いをより多くの人に伝えられればと、「世界食料デー」月間に参加したそうです。「最初は、博物館でパネル展示のみを行う予定でしたが、他にも何かできないかと、併設するビュッフェレストランで一食につき20円を寄付するチャリティ企画を実施することにしました。でも、来客数を集計してその分を寄付するだけではつまらない。お客様にも一緒に参加してもらい、楽しんでもらえるような企画にしようと、木のイラストを描いたパネルを作成し、果実に見立てた丸いシールを1枚ずつ貼ってもらうことにしました。たとえ20円でもたくさんの人が集まると大きな力になることを、果実が実っていく様子で表現したかったからです」。

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お客様もスタッフも一緒に

チャリティ企画を実施するのは初めてだったので、スタッフにも納得して取り組んでもらうために話し合いを重ねたそうです。「通常の業務だけでも忙しい行楽シーズン。話し合いがすんなりと進んだわけではありませでした。でも、「食べる」ことを通して世界の食料問題について考えるきっかけを提供できるなら、と、最後には納得してくれました。始まってみると、お客様から思った以上にいい反応をいただいたことも、スタッフの気持ちを大きく動かしたようです」。特に小さい子ども連れの家族にとっては、残さず食べることの大切さを伝えるきっかけにもなったようです。
「日本では食べ物があふれていて、消費者が好きなものを選べる時代。でも、「食べる」ためには必ず「つくる」人がいることや、残さず食べることの大切さを忘れてはいけないと思っています。1回だけ協力して満足するのではなく、継続していきたいです」と小川さんは話します。「今年はもっと早く告知をしよう」という声も、スタッフから出てきているそうです。

教員・栄養士 日野市立日野第二中学校
竹村きよみさん、廿楽房子さん

食について考え、体験する活動に積極的に取り組んでいる日野第二中学校。一昨年から10月の「給食だより」や献立表で、世界の食の現状について紹介しています。

 食への意識を変える農業体験

英語の教師として働く竹村先生。3人の子どもを持つお母さんでもあります。子育てをするなかで「子どもにできるだけ身体にいいものを食べさせたい」という気持ちが芽生えるなか、生徒たちの食生活にびっくりしたそうです。「当時は学校のすぐ近くにコンビニがあったので、塾へ行く前や給食のない土曜日には、カップラーメンなどを買って食べる生徒が多くて。ちょうど総合学習の時間も本格化してきた9年前に、食育の授業を提案しました」。 授業だけではもったいない。そう思って、当時の栄養士さんとつながりのあった農家にお願いして、農業体験を取り入れたそうです。ときには子どもたちが植えた野菜を給食で食べることも。「農業体験の前と後では、食べ物に対する意識がまったく違います。嫌いなものでも食べてみようと、チャレンジする子が増えます」と、栄養士の廿楽さんは話します。他にも、昨年からは年に4回「お弁当の日」を設けて、自分で作ったお弁当をお昼に食べる取り組みも行っているそうです。

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世界の現状も伝えたい

このように食育に力を入れているものの、「世界の飢餓の現状を実感するとなると、中学生には正直難しい」と二人は話します。でも、知っているのと知らないのとでは全然違うと思い、一昨年は肥満と飢餓が一緒に起こっている世界の現状について、昨年は食料廃棄について、10月の「給食だより」を通して生徒たちに伝えたそうです。「一昨年、テレビ番組で、スラムで生活していたり、学校に行きたくてもカカオ畑で働かないといけない子どもたちを見て、考えさせられました。食べられることがあたりまえの日本では食べ物が大量に捨てられているのに、開発途上国では食べられない人がいる。それって何かがおかしい。このことをどうにか伝えたいと思ったときに世界食料デーについて知り、これをきっかけに何かできるかも、と思いました」と廿楽さん。 先駆的な食育活動を次々と行っている日野第二中学校。「調理実習のときに世界の食文化だけでなく食料問題について考えてもらうことができるかも」と、新しいアイデアも出ていました。